”同じものが出来上がるわけではなくて新しいものがどんどん生まれてくる。
どんどん変化していっている。”
__作品によると思うのですが、最初から「このシリーズを描こう」と取り組まれているのか、
描いている中でシリーズにそれぞれの作品が収まっていく感じですか?
今、こうやってシリーズの名前付いていますけれど、シリーズの名前がつくのはやっぱり描き終わってからですね。こういうものを描こうという基はあるんですけど、portraitシリーズなら肖像画を抽象画で描こう。そして描いたあと素直に感じたイメージをシリーズ名にしています。
Oreシリーズなら、原石があってそれを磨くと美しくなるけど、その原石を見つけた感じを描きたいな、と思って、鉱物を意味するOreとつけよう、とか。
でも大体の描くテーマというのは描く前に大まかに決まっています。
__テーマは大まかに決まっていて、発表の際にシリーズとして分類されタイトルが付けられる感じ
なのですね。
そうですね、nadelシリーズなんてほんとに撫でるという言葉をそのままアルファベットにつけただけなので
__nadelシリーズのタイトル面白いですよね、造語がいっぱいで
果たしてなんて読むのと言われたら、勝手に作っただけなんです、と(笑)
__ご自身の思いがタイトルにも詰まっていて素敵だなと思います
制作の進め方についてお聞きした際に、例えば今回のREBORNシリーズなどは水平にしたキ
ャンバスに絵の具と水とを流し込んで自然の流れを取り入れられているとおっしゃっていました。
自然の流れの物って時間がかかるというか、作品で言うと完璧に乾いていくまで、しばらく作品の
表情が変わっていきつつ完成に向かっていくと思うんです。そういった時間の経過を見つめていら
っしゃるというか、ご自身の中で吸収されているという部分があるかと思うのですけれども、制作
する上で偶発的なものも大事にされているという事でしょうか。
まさに!!その、流し込んで待つ、っていう作業はあるんですけど、REBORNはどんどん絵の具を重ねて行って下の絵の具をほじくり返したり、伸ばしたり、飛ばしたり。
意図的に手を加え必然を与えることが大事な作品です。流して乾かすだけではないんです。
__やはり手を加える工程がおありなんですね
絵の具と絵の具がぶつかったような、ひとつひとつの細胞がはじけたような、増殖していくようなものを意図的に作り、あとは乾燥で偶発的に起こる変化を待つという作り方をしています。
4日くらい乾かないので、その間にほじくり返したものがまた下に沈んだり、また出てきたり、思いもつかない表現、色の出方になるのでそれも一つの面白さというか。
いろんな表情がまた変わっていくことが細胞の変化、完成までどんどん変化していくのでその分裂を楽しみにしながら表現をしている作品です。