
------今回のMOVEで主題となった作品、REBORNシリーズについて。
REBORNに関して制作する上で変わらない部分と変わった部分、今現在のREBORNについても取り組み方をお聞かせいただきたいと思います。
変わらない部分っていうのはやはりREBORNの大きなコンセプトである「人々の思考や環境が変化・進化して行く様子と、細胞が分裂し増殖し、生まれ変わり進化していく様子のリンク」を表現している、という基本のところです。
それが表現する上で絶対的に大事なものではあるんですけれど、その上で変わってきたことっていうのが、制作工程です。
REBORNという作品をより深いものにしていくには、生まれ変わる・進化する、という題名の通り、作品自体も進化をしていかないといけないなと。
実験を重ね、たどり着いたのは「時を重ねていくこと」でした。
今までは、一発でキャンバスに命を注ぎREBORN作品を作っていたのですが、そこにプラスして時を重ねるという意味で、新たな細胞を加えるという工程を見つめなおしました。そのことによってテクスチャーに今までと異なる風合いが出てきたり、奥行き深みが増し、ちょっとした違和感というのも出てきて。そのあたりが制作での大きな変化でした。
------今後の作品はそれをさらに踏まえたものになっていくと。
そうですね、今までより意識が深まった作品になっていくと思います。
2023年の「Art Miami」へ出品する作品に関してになるのですが、REBORNを描き始めた頃から今までは、「青い細胞が分裂していく」という大きなイメージがあって、「青と言われる色」を使う事をすごく重要視していたけれども、青い色ではなく「青い世界」を意識しました。
私が今までにも言ってきた、赤も白も黄色も青い世界の中のひとつ、という「概念」について改めて考えたような作品です。
「青と言われる色」を一切使わず表現した作品もあります。
そこに時も重ね、それがまた新たな進化につながったと思える作品になりました。
------「時を重ねる」という意識を加えられて、青の世界の概念を新たに反映していって現在のREBORNは確実に進化している気がします。
自分の中ではそう感じます。
けれど作品を見た方にそれがちゃんと伝わっているかそれが大事ですね。伝わらなければいけないと。
------そうですね。MOVEでの作品を観た皆さんの反応、特に以前よりずっと香菜子さんの作品に注目してくださっている方から、お!何か変化が、と、感じ取っていただいていましたね。素晴らしいことだと思います。
はい、とても有難いですし、嬉しいです!
------前回のインタビューでもお話しいただきました香菜子さんの中の「色の概念」について、当時と今で変化などはありますか
青と呼ばれる色に固執していたものを少し外してみる、という気持ちが芽生えました。
変わらず青い作品は作っていきますが、同時にそこから外れたものを作っていこうかなと。
------並行して制作ですね。青を使わない作品も、核とか基本のところは香菜子さんの物だと思うので、それもすごく楽しみです。
「青」というものが、自分の最初の記憶、母親の子宮の中の色っていうところから始まった核の色で、それが今までは包まれていたもの、私の今までの世界を作ったものでした。
これからは、私が包むものであって、私が作り上げる新しい世界のもの、という意識になってきたという変化がありました。
------今度はご自身が包む色に変化しつつあるのですね。
そうですね、自分から発していく色ですね。
------色が増える、という表現であっているかわからないですけれどもそうなる可能性とか。
今までと別な色が中心になるかもしれませんし、もっとシンプルになるかもしれませんし、より多色を使うのかもしれませんし、それはその時の作品への想いによって変わるのかなと!
------変わる瞬間は多くあるかと思うのですがその中でも、そういった意味での今、過渡期という感じですかね。
新作のS30号の作品は、青い作品ですが今までの青いREBORNとはちょっと違います。もっと厳選された神経のような、、繋がる意識のような繊細なREBORNを作りたくて。 そういった点では個展「MOVE」が終わり、次の展示「アートマイアミ」への作品制作スタートが色の概念が少し変わったタイミングですね。
------思考を止めないという意識が一貫してありますね。